紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
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  「害虫防除の常識」      (目次へ)

     1.害虫とは

       4) 害虫の分類学

 これまで、害虫を防除に関係した特徴から類別してきた。ここでは、害虫の分類について触れてみたい。

 農作物等に被害を与える害虫は、狭い意味では昆虫類を意味するが、害虫防除の世界では、昆虫以外で農作物等に被害を与えるダニ、センチュウ、ナメクジ、ダンゴムシなども害虫に含めているのが一般的である。

 生物分類学では、生物を分類するのに二名法を用いる。二名法というのは、18世紀にスウェーデンの生物分類学者リンネが提唱したもので、生物の基本的単位である「種名」をラテン語で「属名+種小名」という2つの名前で表わし、これを万国で通用する「学名」とする方法だ。

 例えば、キャベツなどの害虫であるヨトウガは、学名では「Mamestra brassicae (Linnaeus)」 と書き、「マメストラ ブラシカエ (リンナエウス)」と読む。種小名の次に書かれる人名は、該当生物の学名を命名した人か、人名が括弧書きの場合には分類し直した人の名前である。学名で表す時に、命名者の名が省略される場合もある。

 以上は、学問の世界で使われる場合だが、日本語で表す場合に、種名に相当するものが「和名」であり、通常、カタカナで書かれる。和名は、学名ほど厳密なきまりはないが日本全国で通用するものである。和名は、一般の生物図鑑に書かれている。一方、ある地方だけで通用する名称は「地方名」や「俗名」などと言われる。

 生物分類学では、種という基本的単位ごとに似たもの同士を束ねて上位の分類単位を作り、生物のまとまりを形作っていく。この生物のまとまり(分類単位)は階層性をもち、生物の進化や分化の過程をを反映している。すなわち、分類単位は、階層の最上階から、「界、門、綱、目、科、属、種」と名づけられる。種以下で更に細かく分ける必要がある場合には、亜種、バイオタイプなどと呼ばれる。この「界、門、綱、目、科、属、種」を事例的に示したのが表4である。
 
 例えば、ヨトウガを分類してみると、動物界、節足動物門、昆虫綱、チョウ目、ヤガ科、ヨトウガ属、ヨトウガとなる。ヨトウムシというのはヨトウガの幼虫を示す名称である。
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